おやじともなると、行きつけのBarや飲み屋なんて、2、3件はあるのではないでしょうか。
お酒の弱いわたしには憧れはあるものの、残念ながら知り合いのお店以外にそういうお店はありません。
こんな店あったらいいな「深夜食堂」
客の誰もが酔うほどに酒を飲むわけでも無く、さっと作ってくれる家庭的なご飯を食べながら軽くお酒を入れるスタイルのお店があればいいなと思います。
そういった意味では、映画にもなっている大好きなドラマ“深夜食堂” は、理想ともいえます。
小林薫の「いらっしゃい!なんか食うかい。」「うちは、3本までって決まってるんだよ!」というセリフなんかすごくいいです。
悩んだ気持ちや疲れた心にあったかいものを食わすという雰囲気が好きです。
カウンターの小林薫は客に何があったのか詮索しないけど、その人に向ける温かい感じの距離感がいいなと思います。
リアル深夜食堂?
そんな、ガツガツしていなくていい塩梅でゆるい感じのお店が見つかりそうです。
店までの交通機関は利便性が良い訳では無いので、深夜食堂の常連さんたちのように頻繁に立ち寄るような“ふらっと寄る系” ではないのですが、イメージに近いお店です。
店主の女性とは、20年ほど前に知り合っています。
当時仕事で陶器を扱うことがあって陶芸家であるこの女性の方にお世話になっていました。
自作の器に盛られる料理たち
10年以上ご無沙汰だったのですが、今は陶芸半分、食い処半分でやっているという案内を頂いて、嫁とふたりで訪れました。
店は昔ながらの家屋の雰囲気が漂う陶芸家が住んでいる工房の一角にあり、店内には食器や花瓶などの作品が飾られていて、ひとつひとつ手作りの陶器独特の温かみで包まれています。
平日の夕方の早い時間だったという事もあり、客は嫁とふたりだけでした。
「お腹空いてますか?」と聞かれ「空かしてきました。」と嫁が答える。
「お任せでいいですか?」と聞かれ「おまかせします。」と嫁が答える。
包丁のリズムのいい音と、かすかなフライパンで炒め物をする音のなか、ビールを飲みながら徳利のような形の小さな花瓶に挿してあるお花を眺めていました。
たしか、店先のちょっとした庭に咲いていた黄色い花の野草だったと思い、匂いを嗅いでみる。かすかにハーブ系の匂いが。
お互いの忙しさが重なっていたのは時代の流れか?
サラダやナスの浸しなど次々料理が出てきてお腹を満たしてくれました。
料理が落ち着くと、店主がたしなむ程度にお酒を飲みながら三人でしっとりと昔のはなしと今のはなしをしながら時間が流れていきました。
ひとそれぞれに、好きな雰囲気や好きな時間の過ごし方があると思いますが、年を取っていくとより一層好きな雰囲気・時間を大切にしたいと思うようになりました。