流動的な世の中の連続した通過点

我道楽

「今の暮らしのほうがはるかにいい。快適ですよ。」奥さんも笑ってうなずいた。

「でもやっぱり、こういう自営業って、貯蓄があっても将来が心配じゃありませんか?」

「全く心配してませんよ。こうやって楽しく生きられるだけでも、充分に儲けものですから。」

その時々のチョイスを繰り返す

垣根涼介の『君たちに明日はない5』の中のある部分を、ざっくばらんにかいつまむと、こんな感じでした。

さらに、

「結局のところ、その時点その時点でのチョイスを、死ぬまで繰り返していくしかないんだな。」

「世の中は変わっていくものでしょう?いくら自分が現状のままで居たいと思っても、その世間との兼ね合いを含めて、どうしても状況は変わっていくわけで……

「現時点でできる判断は、懸命に考えてそれを下す。けど、ある程度まで考えても結論が出ない問題は、その時になってから、また考えればいい。」

「惚れ合っている夫婦の子供がーたとえ貧乏でもー少なくともその子供時代に不幸だったという話は聞いたことがない。」

「これからこの二人の生き方は、どういうふうに変化していくのだろう。」

……

変わらないものとは

「同じリズムで歩調を合わせ始めた。彼らはさ、たぶん変わらないよ。少なくとも自分たちの関係だけは変わらないように、お互いがお互いを思っている。それが素直に、カッコいいなあって感じたよ。」

「社会的な利害、あるいは立場だけで繋がった人間関係は、簡単に膝を突き、崩れ落ちていく。」

「変わらないものがあるとすれば、それは、おそらくは誰かを大事に思っているという、その気持ちだけだろう。その気持ちをお互いに持ち続けられる人間関係だけが、かろうじて生き残っていく。」

「生き方だってそうじゃん。ここで上りっていうような一生安楽な人生は、官僚にでもならない限り、今の時代にはもう来ないよ。」

自らの状況に置き換えて考察してみる

いまの自分が生きている状況に置き換えて考えてみても、ほんとそうだよなと思います。

発行が今から約6年前の2014年なので、この小説を読む限り、人の稼ぎ方や生き方の考えは良くなるどころかどんどん悪くなってきているように思います。

もちろん、人の価値観は様々だと思いますが、変化の著しいますます流動的な世の中で富や地位、名声を得ることがすべてになってしまうと、その連続した通過点で大事な物を見失った判断をしてしまうことも多いような気がします。

垣根涼介の『君たちに明日はない』シリーズや池永陽の『珈琲屋の人々』シリーズのどちらも、劇的なドラマティックな展開はありませんが、日常の等身大の中にこそ、本当に学べるものや得るものがあるような気がします。


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